| 蒸留品目 | ラベンダー |
| 場所 | 新潟 |
人と人を、心とこころを、つなぐ。新潟ラベンダー物語
―国産精油だからこそ生まれる価値を、地域から育てる―

日本各地で、国産精油づくりに取り組む人が増えています。しかし現実には、栽培、収穫、蒸留、販売までを一貫して続けることは容易ではありません。栽培面積の確保、人手不足、販路づくり、価格競争。さらに、海外産精油と比べると、国産精油はどうしても高価格になります。
その中で、私たちは2014年5月から、「新潟ラベンダー物語」と名付けた活動を続けてきました。単にラベンダー精油を作るのではなく、“誰が、どこで、どのように育て、どんな想いで蒸留したのか”まで含めて価値に変えることを目指してきた10年です。
始まりは、一人の女性との出会いでした。高齢のため、長年続けてきたいちご畑を手放さざるを得なくなり、その土地は耕作放棄地になろうとしていました。
その時、私たちは考えました。
「精油を作るための植物を、単に仕入れて終わるのではなく、自分たちで育て、地域の課題解決につなげられないだろうか」
そこで、その畑をお借りし、スクールの生徒さんたちとともに、100株のラベンダーを植えました。無農薬で栽培し、花を刈り取り、自ら蒸留する。そこから「新潟ラベンダー物語」が始まりました。その後増えて、現在約700株を育てています。

ラベンダー精油は、海外産であれば比較的安価に入手できます。香りの安定性や価格だけを考えれば、輸入精油の方が有利かもしれません。しかし、私たちが届けたいのは、成分や香りだけではありません。
畑の風景、育てた人々の笑顔、蒸留した瞬間の香り、土地の気候、風土の記憶。
国産精油には、その土地の物語が宿ります。
新潟で育てたラベンダーは、同じ品種であっても、北海道や富良野のものとは違う香りになります。雪国特有の寒暖差、梅雨、海からの風、土壌。毎年少しずつ香りが違い、その年の気候まで閉じ込めたような香りになります。
蒸留のたびに感じるのは、国産精油の価値は「均一性」ではなく、「土地性」にあるということです。ワインにテロワールがあるように、精油にもテロワールがあります。
そして、その土地性は、ストーリーと結びついた時に初めて、人の心を動かす商品になります。
私たちのラベンダー精油は、大量生産ではありません。一年に採れる量も限られています。しかし、だからこそ、「新潟市の耕作放棄地から生まれた無農薬ラベンダー精油」として、多くの方に共感していただけるようになりました。
これまで延べ100人以上のボランティアやスクール生が栽培に関わり、現在は新潟市、長岡市、十日町市の3か所、約2,000株まで広がっています。さらに、障がい者施設とも連携し、畑の維持管理、収穫、製品デザイン、ラベル貼り、パッケージづくりまでを一緒に行っています。

精油を販売する時、お客様は「香り」だけを買っているわけではありません。
誰が作ったのか。
どんな場所で育ったのか。
どんな人たちが関わっているのか。
買うことで、どんな未来につながるのか。
そうした背景に共感し、「この精油だから欲しい」と感じてくださる方が増えています。

実際、私たちの活動では、精油単体を販売するだけではなく、蒸留体験、収穫体験、講座、ワークショップへとつなげています。
6〜7月の収穫時期には、畑でラベンダーを刈り取り、その日のうちに蒸留する体験会を開催しています。
蒸留器から最初の一滴が落ちる瞬間の感動は、既製品を買うだけでは得られません。

参加者は、その香りを通して、「また来年もこの畑に来たい」「この精油を応援したい」と感じてくださいます。
結果として、精油は単なる商品ではなく、“地域とのつながりを持ち帰るお土産”になります。
国産精油のビジネスは、精油を売ることだけでは続きません。
植物を育てる背景、地域資源との結びつき、体験、教育、福祉、観光。そうした複数の価値を重ねることで、初めて持続可能になります。
私たちは、耕作放棄地の再生から始まり、園芸福祉、地域交流、健康講座、体験型イベント、精油やアロマ製品の販売へと活動を広げてきました。
その結果、精油の価値そのものも高まり、価格ではなく「共感」で選ばれるようになってきたと感じています。

国産精油には、まだ大きな可能性があります。
大量生産ではないからこそ、その土地にしかない香りを届けられる。
小規模だからこそ、作り手の顔が見える。
地域とともにあるからこそ、精油以上の価値を生み出せる。
「新潟ラベンダー物語」は、人と人を、心とこころをつなぐ活動であると同時に、国産精油の未来を、地域から育てる挑戦でもあります。
これからも、一滴の香りに込められた物語を、大切に届けていきたいと思っています。
主な受賞歴
新潟県環境賞 地域創り部門賞(2024年)
令和7年環境保全功労者等環境大臣表彰(2025年)
環境省グッドライフアワード「環境と福祉賞」(2019年)
詳細情報
| 蒸留品目 | ユズ、県内未活用柑橘など |
| 場所 | 神奈川県横浜市 |
| ホームページ | https://linktr.ee/lavenderstory |
| 運営 | 新潟・ラベンダー物語 アロマ・レーヌ/アロマテラピースクール&サロン |

